がんの種類
1.胃がん
2.大腸がん
3.肺がん
4.肝がん
5.乳がん
6.子宮がん
7.前立腺がん
1.胃がん
日本人のがん罹患率で1位の胃がん。
一方で、早期に発見される例が増え、治癒率は向上しています。
●若年層で減り、高齢者層では増えている
長い間、罹患率と死亡率で、日本人のがんの第1位を続けてきた胃がん。1998年に、死亡率では肺がんに第1位をゆずりましたが、日本人が一番多くかかるがんであることに変わりはありません。
食事や生活習慣の変化によって、若年層の胃がんは減っていますが、高齢者層では増加。とくに男女の罹患率は、30代まではほぼ同じですが、年齢が高くなるにしたがって男性で増え、60代~70代前半では女性の約3倍になります。
●罹患率は高くても治癒率も高い
早期の胃がんは、粘膜がんならほぼ100%、粘膜下層がんでも90%以上が治癒。進行がんでも筋層がんなら5年生存率が80%以上にも達しています。
●食塩のとり過ぎや喫煙が関与
胃がんの主な原因は胃粘膜の老化と食生活です。世界的にみても日本人に胃がんが多い理由には、塩分のとり過ぎ、喫煙、胃粘膜が弱いことなどがあげられています。
資料:「がん読本」(アフラック刊)
2.大腸がん
近年増加傾向にある大腸がん。
早期発見にはサインの出血を見逃さないこと
●ますます増加傾向にあるがん
1960年以後、日本でも増加の一途をたどっているのが大腸がんです。将来は、胃がんを追い越すと考えられ、男性では、2010年にがん罹患数のトップになると予想されます。大腸がんはできるところによって結腸がんと直腸がんに分けられますが、とくに結腸がんが著しく増加しています。
男女とも60代がもっともかかりやすく、次いで50代、70代、40代と続きます。
●動物性脂質の増加と食物繊維の減少が要因
大腸がんの原因ははっきりとはわかっていませんが、食物が大きな原因の一つと考えられます。食物中の発がん物質や、体内でつくられる発がん物質が、大腸粘膜を刺激してがんが発生すると考えられています。近年増加している原因は、食生活の欧米化、特に動物性の脂質・たんぱく質をたくさんとるようになったことと、食物繊維をあまりとらなくなったことが大きな要因ではないかといわれています。
●早期発見にはサインの出血を見逃さないこと
大腸がんは患部から出血しやすいため、見つけやすいがんです。自分でも、便に血が混じる、排泄後に血が出るなどの症状で発見することができます。便潜血反応検査は、安全、簡単、安価な検査方法として非常に優れた特徴があります。陽性の場合は精密検査を受けることが必要です。
資料:「がん読本」(アフラック刊)
3.肺がん
男女合計の死亡者数が1位の肺がん。
その最大の原因は喫煙。
●日本の増加率は世界一
1998年以降、死亡者数ががん全体の1位の肺がん(厚生労働省「人口動態統計」)。これは肺がんにかかる人の増加と、死亡率が高いことが原因です。死亡率が高い理由は早期発見されにくく、発見された時にはすでに治療が難しい進行がんであることが多いためです。
●二つの部位別早期肺がんの特徴
「肺門部早期肺がん」・・・喫煙に関係があり、せき・痰・血痰の症状があります。初期はレントゲンで発見しにくいですが、胸部X線と喀痰検査の併用が有効とされています。
「肺野末梢部早期肺がん」・・・喫煙との関係は小さく、レントゲンやCTで見つけやすいですが、初期にはほとんど症状がありません。
●喫煙の影響が大きい
男性の死亡率は女性の約3倍に達し、罹患のピークは50~60代、死亡者は高齢になるほど多くなっています。男性に多いのは喫煙者が多いためと考えられますが、女性の喫煙者が増加傾向にあるため、10~20年後の女性の肺がんの増加が心配されています。
資料:「がん読本」(アフラック刊)
4.肝がん
アジアやアフリカに多い肝がん。
日本では罹患率、死亡率、死亡者数ともに増加しています。
●主な原因はウィルス
日本では、男性は女性の2倍余りと多く、男女とも60代で急増します。
日本人の肝がんの多くは慢性肝炎または肝硬変のある肝臓に発生しています。
B型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスに感染した患者さんの一部は、慢性肝炎になり、のちに肝硬変から肝がんへという経過をたどります。
●酒の影響も考えられる
アルコールを大量に飲み続けていると、肝硬変から肝がんへの進行を促すと考えられています。
●症状が出にくく、遅れがちな発見
肝臓は再生能力が大変高く、健康な肝臓なら、半分を切除しても数ヵ月後には元の大きさに戻ります。また普段は肝臓全体の10分の1程度の力で機能を果たしているといわれ、予備能力が高いため、少々の病気や障害では症状が出にくく、病気の発見が遅れがちです。このため、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれます。
資料:「がん読本」(アフラック刊)
5.乳がん
女性がかかりやすいがんの第1位。
●すべての年代の女性で増えている
乳がんにかかる人の数は、年々増加の一途をたどり年間約3万人弱にのぼります。日本では一生のうち乳がんにかかるのは今のところ、20人に1人ぐらいですが急増しているのは事実です。かかる人が最も多いのは、40~50代。最近では20代も含めて、すべての年代で増えています。
●ライフサイクルと食生活の変化が原因
乳がんは、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と密接な関係があり、このホルモンが多い状況のもとでできやすいのです。卵胞ホルモンは、初経が早く閉経が遅い人、出産経験のない人、出産回数の少ない人、授乳期間の短い人で多くなりますが、昔の人に比べれば、現代のほぼすべての女性が、このいずれかに当てはまるでしょう。また、動物性たんぱく質や脂質が多くなると、ホルモンの産生を促す要素となり、乳がん患者を増やす一因となります。
●乳房温存には早期発見が重要
乳がんは、1円玉以下の大きさで発見されれば温存手術で治癒率はほぼ100%です。自己検診とマンモグラフィによる検診を定期的に行うことが早期発見につながります。
資料:「がん読本」(アフラック刊)
6.子宮がん
閉経後に発生しやすい子宮体がん
高齢化にともない罹患者数も増加しています。
●子宮頸がんと子宮体がんに分類される
子宮の入口にできる「子宮頸がん」は、かつてはそれほどいなかった20代の人が増えています。子宮の奥にできる「子宮体がん」は、日本ではここ20年ほどの間に増えて、現在では子宮がんの20~30%になってきました。
●子宮体がんは閉経後の人に増えてきている
子宮体がんは、閉経後に発生しやすいがんで、近年かなり増えています。高齢化社会で年配者が増えているということもありますが、発生率自体も上がっています。肥満、糖尿病、高血圧、出産や妊娠の経験がない人・少ない人、閉経が遅い人などがかかりやすい人の傾向です。また若いころ卵巣障害やホルモン異常のあった人、乳がんにかかった人も、リスクが高くなります。
●主症状は出血、自主的な受診を
子宮体がんの主な症状は出血です。症状のないうちに検診を受けるのが理想ですが、集団検診はあまり進んでいない為、50歳以上で閉経している人は自主的に受ける方が良いでしょう。
資料:「がん読本」(アフラック刊)
7.前立腺がん
男性特有のがんで、日本でも近年急激に増加しています。
高齢者になるほど多いため、高齢社会ではかかる人が増えます。
●50代から急増し、高齢者に多い
前立腺がんは、男性特有のがんで、欧米ではかなり発生率が高いがんです。日本では50代から急増し、高齢者ほど死亡者数も死亡率も高くなります。
●早期発見は前立腺の腫瘍マーカーか人間ドック
前立腺がんの症状は、たびたびおしっこがしたくなる、おしっこがしづらい、血尿が出るなどですが、初期にはこういう自覚症状が現れません。ですから、早期に発見するためには、検診を受ける必要があります。
前立腺の腫瘍マーカー(PSA)は大変感度がいいため、早期発見や診断に役立ちます。PSAはがんになると非常に多く分泌されるたんぱくのため、判断がつきます。ただし逆に、PSAが上がっていないからがんではないとはいえません。
前立腺がんは、進行すると骨に転移する特徴があり、そうなると骨折や骨の痛みで苦しむことになります。前立腺のがん検診は一般的ながん検診には入っていないので、人間ドックなどで個人で早期発見を心掛けることが重要です。
資料:「がん読本」(アフラック刊)